Google Workspace GmailとMicrosoft Exchange Onlineは、どちらも独自ドメイン(name@example.comのような会社名のアドレス)でメールを使える法人向けサービスです。どちらを選んでもビジネスメールは実現できますが、契約の形、容量の示し方、アドレスの管理方法、既存メールの移行方法には違いがあります。
比べるときは、毎日使うメール画面の見た目だけでなく、管理者がどうアカウントを運用するのか、いま使っているメールをどう移すのかまで確認しておくと、選びやすくなります。
判断の軸は、「契約の範囲」と「移行元の環境」の2つです。
Google Workspace Gmail
こんな人に
Googleの組織向けサービスも含めて、同じ契約でメールを管理したい
Microsoft Exchange Online
こんな人に
法人メールを単体で契約し、メールボックス容量や移行方式を自分で選びたい
以下で、契約範囲、アドレス管理、容量、セキュリティ、移行、料金の順に違いを見ていきます。
最初に押さえたいのが、両者は「同じ土俵の商品」ではないという点です。
Google Workspaceは、独自ドメインのビジネスメールを含む組織向けスイート(複数のサービスをまとめた契約)です。Gmailの使い勝手だけを比べていても、契約自体にはメール以外のサービスも含まれます。そのため、メール以外もまとめて使う予定があるのか、それとも不要な範囲まで管理することになってしまうのかを分けて考える必要があります。
一方、Exchange Onlineには法人向けメールの単体プランがあります。Microsoft 365全体ではなく、ホスト型メールを中心に契約したい場合に比べやすい構成です。この記事でも、Microsoft 365に含まれるほかの機能は評価に含めていません。
両サービスとも、独自ドメインを設定して法人用のメールアドレスを作れます。導入時には、ドメインの確認とDNS設定(そのドメインのメールをどのサーバーで受け取るかを指定する設定)が必要です。
Google Workspace Gmailでは、管理者が1ユーザーにつき最大30個のメールエイリアスを追加料金なしで作成できます。エイリアスとは、同じ受信箱で受け取る別名のアドレスのことです。ただし、エイリアスは独立したGoogleアカウントではなく、複数ユーザーで共有する受信箱にもなりません。個人ごとに複数の窓口アドレスを持たせたい場合に使いやすい仕組み、と考えるとよいでしょう。
Exchange Onlineでは、配布グループ、外部連絡先、会議室などの設備に割り当てるリソースメールボックス、代理アクセスがサービス機能として案内されています。個人の別名アドレスだけでなく、部署宛ての配布や代理での対応まで含めて設計したい場合は、候補となる機能と契約プランの条件を確認しておくとよいでしょう。
| 比較点 | Google Workspace Gmail | Microsoft Exchange Online |
|---|---|---|
| 契約の位置づけ | 組織向けスイートにビジネスメールを含む | 法人向けメールの単体プランがある |
| アドレス管理 | 1ユーザーにつき最大30個のエイリアスを作成可能 | 配布グループ、外部連絡先、リソースメールボックス、代理アクセスを案内 |
| 管理の中心 | Google Workspaceの管理者がユーザーや設定を管理 | Exchange管理センターと役割別の権限で管理 |
| 移行 | Gmailアカウントから組織内ユーザーへのデータ移行サービスを案内 | 移行元に応じて複数の移行方式を案内 |
容量は数字が並んでいるため比べやすく見えますが、両サービスで意味が違います。
Google Workspaceは、ユーザーあたりBusiness Starterが30GB、Business Standardが2TB、Business Plusが5TBです。ただしこれはメール専用の容量ではなく、組織で利用するプール型ストレージです。数字だけを見て、固定されたメールボックス容量と捉えないようにしてください。
Exchange Onlineは、主メールボックスとアーカイブ(過去メールの保管領域)を分けて示しています。Plan 1は50GBの主メールボックスと50GBのアーカイブ、Plan 2は100GBの主メールボックスと最大1.5TBのアーカイブです。この2つを合算して、1つの受信箱の容量として扱うものではありません。
つまり、メールを長く保存したい場合は、単純な合計値を比べるより、「普段使う受信箱」と「過去メールの保管先」をどう分けたいかで選ぶほうが実用的です。
Google Workspace Gmailは、迷惑メールやフィッシングの報告、不正なリンクの確認、管理者による送信者のブロックや内容に応じたルール設定を案内しています。外部のIMAP対応メールソフトからも利用できますが、認証条件については現在の管理者向け案内を確認する必要があります。IMAPは、サーバー上のメールを複数の端末やメールソフトから扱うための方式です。
Exchange Onlineは、Plan 1に迷惑メール対策とマルウェア対策が含まれます。Plan 1とPlan 2では、ブラウザ版Outlookのほか、Exchange ActiveSync、SMTP、POP、IMAPの利用が案内されています。ただし、デスクトップ版Outlookのライセンスは別条件です。
ここで比べられるのは、各プランで明示された基本的な保護と接続方式までです。より高度なセキュリティ機能まで必要な場合は、それが当然に含まれていると考えず、上位サービスや追加契約が必要かどうかを、必要な機能と契約範囲を照らし合わせて確認してください。
Google WorkspaceのGmailデータ移行サービスでは、Gmailアカウントから組織内ユーザーへメールを移す手順が案内されています。設定と実行を担当するのは、移行先となるGoogle Workspaceの特権管理者です。なお、Advanced Protection Programを利用しているユーザーについては、この移行の設定中と実行中に同プログラムをオフにするという条件があります。
Exchange Onlineは、移行元に応じてカットオーバー移行、段階的な移行、ハイブリッド環境からのリモート移動、IMAP移行などを案内しています。いま使っている環境が既存のExchangeなのか、IMAP対応のサービスなのかによって、検討する方式が変わります。
移行のしやすさを比べるなら、方式の数を数えるのではなく、自社の現在のメール環境に対応する手順があるか、そして誰が管理者として作業するかを先に確認しましょう。
料金は、市場や契約期間の条件をそろえないと比較になりません。ここではUS公式料金の年契約条件で並べます。
Google Workspaceは、年契約で1ユーザーあたり月額がBusiness Starter 7 USD、Business Standard 14 USD、Business Plus 22 USDです。Enterpriseは公開定額ではなく、問い合わせが必要です。
Exchange Onlineは、年契約時に1ユーザーあたり月額でPlan 1が4 USD、Plan 2が8 USDです。
メール単体の費用を見たい場合はExchange Onlineのほうが整理しやすく、Google Workspaceの場合は、メール以外も含む契約全体に対して費用が見合うかどうかを判断する必要があります。
注意
料金は2026年8月7日に確認したUS市場の年契約条件です。日本向け料金への換算はせず、契約前に対象市場、請求周期、課金単位を公式ページで確認してください。
Google Workspace Gmailが向いているのは、メールに加えてGoogleの組織向けサービスを同じ契約で運用したい場合です。また、個人ごとに複数の別名アドレスを持たせ、同じ受信箱でまとめて管理したい場合にも分かりやすい選択肢になります。
Microsoft Exchange Onlineが向いているのは、法人メールを単体で契約したい場合や、主メールボックスとアーカイブの容量を分けて選びたい場合です。既存のExchange環境やIMAP対応サービスなど、移行元に合わせた方式を検討したい場合にも候補になります。
なお、どちらも従業員が使うメールボックスのサービスです。ニュースレターや大量の販促メールを送る目的で選ぶものではありません。Exchange Onlineも、一括の商用メールには専門サービスを使うよう案内しています。
Q.どちらも独自ドメインのメールを使える?
A.はい。Google WorkspaceのBusinessプランとExchange Online Plan 1・Plan 2は、独自ドメインの法人メールに対応しています。どちらも導入時にドメイン確認とDNS設定が必要です。
Q.容量が多いのはどちら?
A.数字だけでは決められません。Google Workspaceはメール以外と共有するプール型ストレージ、Exchange Onlineは主メールボックスとアーカイブを分けた容量だからです。保存する場所と用途を分けて比べてください。
Q.料金だけで選んでもよい?
A.同じUS市場の年契約条件で並べるとExchange Onlineの公開価格が低く見えますが、契約に含まれる範囲が異なります。メール単体でよいのか、Googleの組織向けサービスも含めて使うのかを決めてから比べる必要があります。
確認日: 2026-08-07(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Google Workspace Gmail
Microsoft Exchange Online