Proton Mail for Businessとmailbox.org Businessは、どちらも独自ドメイン(会社のドメインを使ったメールアドレス)を組織で運用できるサービスです。ただし、選ぶときに見るべき重点は少し違います。暗号化されたデータの扱いや、組織全体への2段階認証を重視するならProton Mail for Business。受信箱や転送、容量などを中央の管理画面で細かく扱いたいならmailbox.org Businessが、分かりやすい候補になります。
メールのプライバシーを軸にしつつ、管理者が全員の2段階認証や迷惑メール対策を統制したい組織には、Proton Mail for Businessが向いています。一方、ドメイン、従業員の受信箱、転送、容量、セキュリティ設定を一つの管理画面で扱い、受信箱ごとにプランを選びたい組織には、mailbox.org Businessが合います。
Proton Mail for Business
こんな人に
暗号化されたデータの保管と組織全体の認証管理を重視する
mailbox.org Business
こんな人に
受信箱単位のプランと中央管理の細かさを重視する
最初に押さえておきたいのは、どちらも単なるメールソフトではなく、独自ドメインのメールを組織で運用するためのサービスだという点です。ここで比較するのはメールの提供部分であり、オンラインストレージなどを含む複合サービス全体の優劣ではありません。
| 比較項目 | Proton Mail for Business | mailbox.org Business |
|---|---|---|
| 主な位置づけ | プライバシーを重視した法人メール | 中央管理を備えた法人メール |
| 独自ドメイン | 法人プランで設定可能。Mail Essentialsは3ドメイン | StandardとPremiumで案内 |
| 管理 | 利用者、管理権限、容量配分、アドレス、catch-allなど | 契約、ドメイン、受信箱、転送、パスワード、容量など |
| メール容量 | Mail Essentialsは1人15GB | Light 2GB、Standard 20GB、Premium 50GB |
| メールソフトとの接続 | 有料プランではBridge経由でIMAP・SMTP。POP3は非対応 | IMAP・POP3・SMTPに対応 |
| 認証・迷惑メール管理 | 2段階認証の強制、組織共通の許可・拒否設定 | パスワード、IP許可・拒否、ウイルス・迷惑メール対策など |
| 移行 | Easy Switchで対応サービスやIMAPからメールを取り込み | 個別オンボーディングとAudrigaによる自動移行を案内 |
| 費用の考え方 | 利用者単位・月単位。固定金額は公開時の確認が必要 | サービス/サポートの月額と従業員アカウント料金の合計 |
前提
この表の費用欄は課金構造の比較です。同じ条件の料金表ではありません。
表だけで結論を出さず、「何個の受信箱が必要か」「既存のメールソフトをそのまま使うか」「管理者がどこまで統制するか」を、自社の運用に当てはめて考えることが大切です。
独自ドメインを使う導入手順は、どちらもドメインの確認とDNS設定が中心です。DNSは、どのサービスでメールを受け取るかをドメイン側に知らせる設定のことです。
Proton Mail for Businessでは、独自ドメインを追加して確認し、必要なDNSレコードを設定します。管理者は、利用者の作成や管理権限、容量配分、独自ドメインのアドレス、catch-allを管理できます。catch-allは、ドメイン宛のうち個別に作っていないアドレスへのメールも、まとめて受ける仕組みです。Mail Essentialsでは、1人あたり10アドレス、組織で3つの独自ドメインが案内されています。
ここで注意したいのは、「利用者」「受信箱」「アドレス」を同じものとして数えないことです。たとえば1人が複数のアドレスを持っても、受信箱や課金対象の利用者が同じ数だけ増えるとは限りません。別名のメールアドレスであるaliasが多数必要なら、契約前に受信箱との数え方を確認すると安心です。
mailbox.org Businessでは、中央管理画面でドメインを追加し、TXTレコードで所有を確認したうえで、メールの配送先を示すMXレコードを切り替えます。先に従業員のメールアカウントを作ってから切り替える手順が案内されています。管理画面では、ドメインや受信箱のほか、転送、パスワード、容量、セキュリティ設定も扱えます。
なお、mailbox.org Businessのalias数は、個人向けプランの公開値をそのまま法人契約に当てはめず、別途確認する必要があります。複数の部署名や役職名を一つの受信箱へ集めたい場合は、必要なaliasと転送ルールを書き出して問い合わせると、受信箱数との混同を避けられます。
Proton Mail for Businessは、管理者が組織の2段階認証の導入状況を確認し、管理者だけ、または全員に利用を強制できます。さらに、迷惑メールの許可・拒否リストを組織全体へ適用できます。個々の利用者のメール内容へ管理者がアクセスする境界は分けて設計されているため、管理のしやすさだけでなく、管理者が見られる範囲も確認したい組織に合います。
Proton Mailのデータは、暗号化された状態でスイス、ドイツ、ノルウェーのProtonまたは子会社が運用するサーバーに保存され、オフラインのバックアップも暗号化されます。ただし「暗号化対応」という言葉だけで判断するのは早計です。社外宛のメールがどう扱われるか、復旧時に何が必要か、既存メールソフトとの接続で運用がどう変わるかまで確認しましょう。
mailbox.org Businessは、ドメインや個別アカウントの単位で機能を有効にでき、従業員アカウントを業務上のまとまりに応じてグループ化・分離できます。ウイルス・迷惑メール対策、パスワード、IPアドレスの許可・拒否、バックアップなども管理対象です。受信箱や転送を含めて、日常の運用を中央に集めたい場合に検討しやすい構成です。
一方、これらの管理機能はメール暗号化の方式そのものとは別の話です。mailbox.orgは法人向けに、ドイツのデータ保護とデータ処理契約を案内しています。保存場所や認証の名称だけで比べるのではなく、自社が必要とする暗号化の対象、社外との送受信、復旧条件を両サービスで確認すると、比較が具体的になります。
Proton MailのMail Essentialsは、1人あたり15GBの容量です。上位のWorkspace Standardは1人1TB、Workspace Premiumは1人3TBと案内されていますが、これは複合サービス全体の容量であり、メール受信箱だけの容量とはみなせません。メールだけが目的なら、総容量の大きさではなく、メールに割り当てられる範囲を確認しましょう。
添付ファイルは、Proton Mailでは受信時の合計が50MB、送信時が25MB、1通あたり最大100ファイルと案内されています。実際の送信では、エンコード(送信用の変換処理)によってサイズが増える点にも注意が必要です。mailbox.org Businessについては、法人向けの確認情報からメール添付の固定上限を確定できません。オンラインストレージのファイル上限をメール添付の上限として扱わないでください。日常的に大きな添付を送る組織は、契約前に確認しておきましょう。
普段使っているメールソフトとの接続方法も異なります。Proton Mailの有料プランは、Proton Mail Bridgeという中継用アプリを介して、IMAP・SMTP対応ソフトと接続します。IMAPは受信箱を同期する方式、SMTPは送信に使う仕組みです。POP3には対応していません。mailbox.orgはIMAP・POP3・SMTPを案内しているため、既存の接続方式を維持したい場合は、今の設定を先に確認すると選びやすくなります。
Proton MailのEasy Switchは、Gmail、Outlook、Yahoo、またはIMAP対応サービスからメールを取り込めます。移行元によっては、連絡先やカレンダーも対象になります。法人向けには優先サポートと、移行を支援する専任サポートが案内されていますが、応答時間の保証までは前提にしないほうがよいでしょう。
mailbox.org Businessは、個別のオンボーディングと、Audrigaを使ったメール、カレンダー、連絡先、クラウドファイルの自動移行を案内しています。対応する移行元と費用は、契約時の確認が必要です。サポート内容はサービスパッケージによって異なり、優先対応、プランに応じた電話サポート、上位パッケージの窓口や緊急連絡先が用意されています。
移行方法を比べるときは、「自動移行できる」という一言で決めないでください。今のサービスが対象に入っているか、メール以外も移すか、移行期間中に誰が問い合わせるかを確認しておきましょう。
Proton Mail for Businessは、利用者単位・月単位で増減でき、長期契約は不要と案内されています。公開料金は動的なため、ここでは固定金額を置きません。必要人数と希望プランを選んだ時点の表示額で見積もるのが安全です。
mailbox.org Businessの受信箱料金は、2026年8月7日のGLOBAL向け確認時点で、1人あたり月額の税別価格としてLightが1ユーロで2GB、Standardが4ユーロで20GB、Premiumが12ユーロで50GBです。独自ドメインはStandardとPremiumで案内されています。ただし、法人アカウント全体の費用はこの受信箱料金だけではありません。月額のサービス/サポートパッケージ料金と、作成した従業員アカウントのプラン料金を合計して考えます。
またmailbox.org Businessは、メールアドレスの追加・削除、プラン変更、容量調整を随時行え、年間契約なし、短い通知期間を案内しています。実際の解約日は契約画面で確認してください。
注意
料金と契約条件は2026年8月7日にGLOBAL向け情報を確認した内容です。Proton Mailは申込時の動的な表示額、mailbox.orgは受信箱料金に加えてサービス/サポートパッケージを含む総額を、契約直前に確認してください。
Proton Mail for Businessが合うのは、メールのプライバシーを重視し、全員への2段階認証や組織共通の迷惑メール設定を管理者が統制したい場合です。外部のメールソフトを使うなら、Bridgeを含む接続方法を受け入れられるか、POP3が必要ではないかも判断材料になります。
mailbox.org Businessが合うのは、ドメイン、受信箱、転送、容量、パスワードなどを中央で細かく管理し、従業員ごとに必要な容量のプランを選びたい場合です。費用を比べるときは受信箱の単価だけでなく、必要なサポートパッケージを足した総額で見積もりましょう。
どちらの場合も、暗号化の名前だけで判断しないことが大切です。社外とのメール、復旧条件、既存メールソフトとの接続を小規模に確認してから全社へ広げると、導入後の行き違いを減らせます。
Q.独自ドメインはどちらでも使える?
A.どちらも独自ドメインの法人メールに対応します。Proton Mailはプランごとにドメイン数の上限があり、Mail Essentialsでは3ドメインです。mailbox.org BusinessではStandardとPremiumで独自ドメインが案内されています。
Q.今のメールソフトをそのまま使える?
A.接続方式によります。Proton Mailの有料プランはBridge経由でIMAP・SMTP対応ソフトを使えますが、POP3には対応しません。mailbox.orgはIMAP・POP3・SMTPを案内しています。現在のアカウント設定を確認して比べてください。
Q.料金はどちらが安い?
A.同じ条件の公開金額では比較できません。Proton Mailは利用者単位・月単位ですが、固定金額は申込時の確認が必要です。mailbox.org Businessは従業員アカウントの料金に、サービス/サポートパッケージの月額が加わります。必要人数、容量、サポートをそろえた総額で比較してください。
確認日: 2026-08-07(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Proton Mail for Business
mailbox.org Business