独自ドメイン(会社のドメインを使ったメールアドレス)で使う法人メールを選ぶときは、暗号化の方針だけを見ても決まりません。管理者に何ができるか、現在のメールソフトを継続できるか、移行方法はどうか、総費用はいくらか。この4点を分けて見る必要があります。
Proton Mail for BusinessとTuta Businessは、どちらもプライバシーを重視していますが、外部メールソフトとの接続方法が異なります。mailbox.org Businessは、一般的なメール接続方式と中央管理を重視する場合に検討しやすい候補です。
暗号化と日常の法人管理、どちらを重く見るかで選び方が変わります。とくに、普段使うメールソフトとプランを決める前に、接続方式と移行手段を確認してください。
Proton Mail for Business
こんな人に
組織全体の2段階認証やアドレスを管理し、対応ソフトとの接続も残したい
Tuta Business
こんな人に
専用ソフトの使用を受け入れ、暗号化されたメールと予定表を重視したい
mailbox.org Business
こんな人に
一般的なメールソフトとの互換性と、ドメインやメールボックスの中央管理を重視したい
| 比較点 | Proton Mail for Business | Tuta Business | mailbox.org Business |
|---|---|---|---|
| 独自ドメイン | プランごとにドメイン数の上限あり | プランごとにドメイン数の条件あり | StandardとPremiumで案内 |
| 主な管理 | ユーザー、管理権限、容量配分、アドレス、全受信設定 | ユーザーの有効・無効化、複数の管理者権限、共有メールボックス | ドメイン、メールボックス、転送、パスワード、容量、セキュリティ設定 |
| メールソフトとの接続 | 有料プランはBridge経由でIMAP・SMTPに対応。POP3は非対応 | IMAP非対応。専用のパソコン・スマートフォン用ソフトを使用 | IMAP・POP3・SMTPに対応 |
| 移行 | Easy Switchで対応元から取り込み | 転送とDNS切り替えを案内 | 導入支援とAudrigaによる自動移行を案内 |
IMAPは、外部のメールソフトでメールを同期するための一般的な方式です。会社で今のメールソフトを継続したいなら、この行がとくに重要になります。
3社とも独自ドメインのメールを扱えます。導入時にはドメインの所有を確認し、DNSというドメイン側の設定を変更して、メールの受信先を切り替えます。切り替え前に、必要な利用者とアドレスを作っておくのが基本です。
Proton Mail for Businessでは、管理者が利用者、管理権限、容量配分、独自ドメインのアドレス、存在しない宛先へのメールも受ける全受信設定を管理できます。一方で、私用区分の利用者のメールには管理者がアクセスしない境界が保たれます。
Tuta Businessは、利用者の有効化・無効化、複数の管理者権限、共有メールボックス、独自ドメインの別名アドレスを、プラン条件として案内しています。mailbox.org Businessでは、中央管理画面から契約、ドメイン、メールボックス、転送、パスワード、容量などをまとめて管理できます。従業員アカウントをグループ分けする運用にも対応します。
どのサービスでも、一人分のメールボックスと、同じメールボックスに届ける別名アドレスは分けて数えましょう。たとえば一人が用途別に複数のアドレスを持っていても、利用者数が同じとは限りません。必要な従業員数、受信箱数、別名アドレス数を別々に書き出すと、プランを比べやすくなります。
Proton Mail for Businessは、組織の管理者が2段階認証の導入状況を確認でき、管理者だけ、または全メンバーに適用を強制できます。また、迷惑メールのブロック・許可リストを組織全体に適用できます。データは暗号化された状態で、スイス、ドイツ、ノルウェーのサーバーに保存されると案内されています。
Tuta Businessは、暗号化されたメールと予定表を提供し、データをドイツ国内の自社サーバーに保存するとしています。サーバー側の迷惑メールフィルターも全アカウントに展開されます。
mailbox.org Businessの管理機能では、ウイルス・迷惑メール対策、IPアドレスの許可・拒否、バックアップなどを扱えます。ドイツのデータ保護と、法人向けのデータ処理契約も案内されています。
ただし「暗号化対応」という表示だけで決めないでください。社外宛メールで暗号化がどこまで適用されるか、アカウント回復時にどのような制限があるかを、自社の運用に合わせて確認することが大切です。管理者に必要な可視性と、個人のメール内容の保護を両立できるかも見ておきましょう。
Proton Mail for BusinessのMail Essentialsは、1利用者あたり15 GB、10アドレス、3つの独自ドメインを案内しています。Workspace Standardは1利用者あたり1 TBと15ドメイン、Workspace Premiumは3 TBと20ドメインです。ただし、Workspaceの容量は複合サービス全体の保存容量であり、メールボックス専用とは限りません。メールの送信添付は合計25 MB、受信は合計50 MBと案内されています。
Tuta Businessは、Essentialが50 GBと3ドメイン、Advancedが500 GBと10ドメイン、Unlimitedが1000 GBとドメイン数無制限と案内しています。添付ファイルの大きさは25 MBです。ただし容量以上に導入判断を左右するのは、TutaではIMAPを使えないことです。従来のメールソフトに合わせるのではなく、専用ソフトへ移る前提で検討しましょう。
mailbox.org Businessのメール容量は、Lightが2 GB、Standardが20 GB、Premiumが50 GBです。付属するDriveの容量とは分けて比べる必要があります。メール添付の固定上限は、プラン確定前に別途確認すると安心です。一方、IMAP、POP3、SMTPに対応しているため、外部のメールソフトを使いたい組織にとっては比較しやすいサービスです。
Proton Mail for BusinessのEasy Switchは、Gmail、Outlook、Yahoo、またはIMAP対応サービスからメールを取り込めます。対応元によっては、連絡先と予定表も対象です。Tuta Businessは転送とDNSの切り替えを案内していますが、一般的なIMAP取り込みがある前提で計画してはいけません。
mailbox.org Businessは、個別導入支援と、Audrigaによるメール、予定表、連絡先、クラウドファイルの自動移行を案内しています。対応する移行元と費用は、契約時の確認が必要です。
退職者が出たときは、利用者を停止するだけで終わりません。必要なメールの引き継ぎ、転送先、アドレスの再利用、保管期間まで決めておくと安心です。管理者がどこまで操作できるかと、利用者のメール内容へのアクセス境界は、別の論点として確認してください。
Proton Mail for Businessは、利用者単位・月単位で拡張でき、長期契約は不要と案内されています。固定の公開料金はここでは置かず、見積もり時の表示で確認します。
Tuta Businessの年契約時の表示は、Essentialが1利用者あたり月額6 EUR、Advancedが8 EUR、Unlimitedが12 EURで、いずれも税別です。
mailbox.org Businessのメールボックス料金は、1利用者あたり月額でLightが1 EUR、Standardが4 EUR、Premiumが12 EURの税別です。ただし、法人アカウントの総費用は、月額のサービス・サポートパッケージと、作成した従業員アカウントのプラン料金で構成されます。メールボックスの単価だけをTutaの料金と比べないでください。
注意
料金はGLOBAL向け公式情報を2026年8月7日に確認した内容です。Tutaは年契約時、mailbox.orgは月額の税別表示で、Protonは動的な料金表示のため数値を固定していません。公開前や申し込み前に、対象地域、通貨、請求周期、税、追加費用を公式画面で確認してください。
プライバシーを重視しつつ、組織全体の2段階認証、利用者ごとの容量配分、独自ドメインのアドレス管理が必要な組織に合います。外部のメールソフトが必要なら、Proton Mail Bridgeを介する運用と対応環境を確認してください。
暗号化されたメールと予定表を中心に考え、専用ソフトへ移行できる組織に合います。IMAPが使えないため、既存ソフトの継続が必須なら、別の候補を優先するのが現実的です。
今使っているIMAP、POP3、SMTP対応ソフトとの互換性を重視し、ドメイン、メールボックス、転送、容量を一つの管理画面で扱いたい組織に合います。導入支援も比較したい場合は、自社の移行元に対応するかと費用を見積もりに含めましょう。
Q.現在のメールソフトをそのまま使える?
A.mailbox.org BusinessはIMAP、POP3、SMTPを案内しています。Proton Mail for Businessの有料プランはProton Mail Bridge経由でIMAP・SMTPソフトを利用できますが、POP3には対応していません。Tuta BusinessはIMAPに対応せず、専用ソフトを使います。
Q.別名アドレスと従業員アカウントは同じ?
A.同じではありません。別名アドレスは、一つのメールボックスに届ける別の宛先として使える場合があります。料金を比べるときは、従業員数、独立したメールボックス数、必要な別名アドレス数を分けて考えてください。
Q.価格だけで選んでもいい?
A.価格の前提が異なるため、表示額だけの比較は向きません。Tutaは年契約時の1利用者あたり月額、mailbox.orgは月額の従業員プランに別のサービス・サポートパッケージが加わります。Protonは申し込み時の料金表示を確認し、同じ利用者数と必要機能で総費用を作ってから比べてください。
確認日: 2026-08-07(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Tuta Business
Proton Mail for Business
mailbox.org Business